「グリーンライフ」に寄せて

 



人生の中で音楽を作っていた時期が3度ある。


最初は、高校生2年-3年のとき、

親からもらった古いパソコンに不完全な音楽作成ソフトを入れて、

限られた機能と音色で、インストゥルメンタルの音楽を作っていた。

安い電子キーボードでフレーズを考えて、ソフトに打ち込む。

坂本龍一やYMOのテクノ初期の音色に憧れて、

架空のジングルやBGMを作ったり、

プログレに憧れて、展開の複雑なバンドの曲も作ったりした。

3年の受験勉強の前に、いくつかの曲を

「SF」という架空のSF映画のサウンドトラックとしてまとめた。

これは友人数人に聞かせたっきりだった。


2度目は大学4年生の頃、

友人と自主映画を作っていて、そのサウンドトラック音楽を作った。

基本は実家のピアノを即興で弾いた音楽を

ケイタイのレコーダーに録りためた。

出来も録音レベルも作曲というほどのものではなかったが、

真剣に作った。

映画にも使ったが、音楽だけで聞くには面白みがないので、

この曲たちはまとめていない。


3度目は、2020年5月のロックダウンに入ってから。

2019年からギターを弾きながら歌ったり、

今までは苦手だったのに人前で歌う、

歌えるようになったことや

ロックダウンで一人多重録音で

好きな音楽をカバーするようになったこともあってか

一人でギターを弾いているうちになんとなく

曲の原型みたいなものができていった。


秋にはぱったりできなくなってしまったけれど、

それぞれを頑張って

少しは整えたものになるように頑張ってみて、

今回「グリーンライフ」という

8曲入りのアルバムとしてまとめることにした。



banimag 「グリーンライフ」

 

 1  バーフライ

 2  孤島

 3  1992            

 4  グリーンライフ

 5  デイドレ

 6  ブルーバード

 7  夜間遊泳

 8  カーニバル



全ての曲も、タイトルもジャケットも、

去年のうちには決めていて、

ロックダウン期の自分の中の総括として

2020年のうちにまとめるはずだったけれど、

どうしても音楽としてレベルが低いこと、

音質が悪いこと、英詞に自信が持てないこと、

歌詞がまだよくなる気がしたこともあり、

2021年に入ってからもかなりスローペースで手直しをして

マイクや機材も少し買い足して、何度も録り直したりした。


もっと良くできる気もしたし、

自分のことを知らない人でもそれなりに

普通に聞けるものにしたかったのだけれど、

自分で全てをやって作ることができる

物のクオリティの天井はもうここかなと思い、

この度、完成にしたものに至る。

自分にとっては

ファーストアルバムと呼べるものにしたかったけれど、

まだ、ファーストデモテープ集ぐらいの感じかもしれない。



自分でずっとやっていると、どの曲もわからなくなってくる。

これは客観的に聞いていいのか悪いのか、

そもそもこれは音楽なのかすらわからなくなってくる。


このままいじり続けて、調子のいい時に録音し直したり、

一から全部作り直したりしたら数年後には

もっとマシなものになったかもしれないけど

それも違う気がした。


コロナもひと段落ついたし、

この大変だった2年間が染みついた音楽に

2022年にもなって向き合いたくないので、

ここでパッケージにしてしまいます。


最初はカセットテープとして出すつもりでしたが、

満足しきれないこともあり、

フィジカルを作るのは今は考えていません。


SoundCloudでも出していますが、

音楽に関心が強い人でないと、

SoundCloudは聞かないだろうと思うので、

サブスクで聞けるようにしています。

プロと同じプラットフォームに並ぶ音楽ではないと思うし、

ものすごくプライベートな創作物なのだけれど、

やっぱり誰かに聞いて欲しいとは思う


自分はこれからも音楽を仕事にするつもりはないし、

デビュー作だとも思っていません。

ものを作ることをすぐに仕事に結びつける考えはしません。

隣町の市役所の職員だって、

きれいな声で歌を歌うだろうし、

トイレを清掃してくれるおばちゃんだって、

すてきな絵を描くかもしれない。


作ることが本業じゃない人が作った時に

生まれたものはかなり歪だけど、

世に出荷されている音楽とは違う音楽の空気があり、

それにも多少価値はあると思いたい。

単純に作りたい欲求によって、

昨日までなかったものができて

それが世にでるというだけで十分なのだと思う。


僕も音楽を作り、文章を書くけれど、

ただの会社員だからこそ、

こんな8曲ができたのかなと思います。



ここまで散々自分のアルバムのことを卑下してきたけれど、

僕は当然どの曲も気に入っているし、

ジャンルも構成もよくわからない曲群が出揃ってきた時に

これをまとめたらすごいヘンテコなものができる気がした。


アルバム全体は結構暗いし、

かなり感傷的に聞こえるかもしれませんが、

コロナ禍最初の夏に作っていたものなので、

仕方ないかもしれません。


今の僕はとても元気ですし、心配におよびません。




作っている時に、

友人にデモを送って聞いてもらったりしましたけど

彼らのおかげで少し自信がついて、

ここまで仕上げられたと思います。

みなさんありがとう



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