シンギング・アウトサイド・カラオケ

自分のインスタグラムに最近、

自分の弾き語りや多重録音した映像をアップロードしています。

正直、ほとんどレスポンスはないんだけど、

自分では楽しんで作っていて、いいコンテンツだと思ってます。

ただ未だに誰にとって価値があるものなのかはわかってません。

どうしてこういうことを始めたのか
自分の中で整理しておきたいのと、

やっていて気づいたことを文章化しておきたいので、
ここに記します。

まず３月から弾き語りの動画をあげはじめたのは、
コロナがあったからかもしれません。

やりながらだけれど、
自分の中で自然と決まりができていて、こんな感じです。

　１、演奏や楽器のレコーディングをするのは日没まで

　２、同じアーティストは１曲まで

　３、この状況下でちゃんと歌う意味のある曲を選ぶ

１決めたのは途中からで、ビデオ撮っていて気づいたんですけど

　部屋の照明のもとで撮影された映像って好きじゃないんですよね

　だから自然光のもとでしかビデオは回さない、
　日が暮れたらやめます。

　

２これも特定の好きなミュージシャンの曲ばかりは、
　そのファンぽくて嫌だなと。
　自分はファンであることより、

　幅広く客観的に見聞きすることに価値を感じます。

　もちろんそれぞれファンであることは確かなんだけれど、

　せっかく年代も国もボーダーレスに聞いてきたから、幅広くやる。

　その方がそのアーティストから選曲する一曲の意味が重くなるし。

３これはカラオケでもそうだけど、意味のない歌を歌うの嫌です。

　送別会の後のカラオケとかで
　とりあえずFLOWの「GO」とか入れられると

　自分はどうして、別れの際にカラオケ盛り上げ定番曲を
　聴かなきゃいけないのか気が狂いそうになります。

　多分、僕の演奏動画を見る10人ちょっとの人で、

　最後まで見る人歌詞まで気にする人は数人だろうけど、

　ただ歌いやすからとか、
　歌いたいからとかで曲は選ばないつもりでいます。

弾き語りを経て、
今はひとり多重録音になってますが、なんとなく始めるきっかけを。

路上で演奏しているのを
インスタライブで配信したことはありましたが、

別にそれ以上の誰かに、後に自分のページに来る人たちに、

また繰り返し見てもらう価値があるとは思わなかったので、
保存はしてませんでした。

インスタグラムには、

通常の投稿と24時間で消えるストーリーズへの投稿がありますが

それは保存する価値があるのかどうかで決めてるとこが多います。

初めてストーリーズの機能を知った時、

「えー保存されないのに意味あるの？」と思っていたけど

消えるゆえに
多少プライベートなことを投稿するハードルが下がるようで、

自分も使うようになって、少しその利便性はわかってきました。

でも、いまだに自分は

基本的にソーシャルには価値あるものだけが
投稿され、シェアされるべきだと思ってます。

投稿者だけが意味をなす無数の投稿が、
大事な言葉を埋もれさせてしまわないように。

（もうそんなことはオンラインワールドでは無理かもしれないけど）

自分はまだこうやって思ったことを

全世界に発信できるありがたさを忘れたくないということです。

なので、自分の歌や演奏は
とても誰かに広く発信する価値があるとは思っていなかった。

でも、２月の中旬からコロナがブアーッと広がって、

ステイホームとか自宅にいることが推奨される中で、

やっぱり自分も家にいながら
すごく楽しんでいるってことを言いたくなる。

そして、それを言うのは、
できる限り多くの不特定多数の人たちにじゃなくて、

自分のアカウントをフォローしている数十人の友達になんですよね。

基本的にフォローしあっている人たちとは
実際に会ったことある友人たちなので、

彼らに僕が普通に生きていることと、
家で遊んでいることを言いたい。

最初に演奏動画を投稿したのは、「犬ふんじゃった」という曲で

これは大学3年の時に作ったギター１本のインストゥルメンタルです。

ギターのインストというと、ジャズのソロギターものだったり

デパペペとかゴンチチ、押尾コータロー的なものだと思うんですが、

これはジャンルが不明なんです。

作ったきっかけは、深町純というすごく好きなピアニストがいて、

この人はもともと
フージョンバンドのキーボーディスト・シンセ奏者で

2012年頃に亡くなってしまっています。彼は晩年、
いろんなコンサートやバーなどでピアノの即興演奏をしていました。

即興といっても坂本龍一がよくやるような
ピアノの弦をこすったりするような
現代音楽かつ実験音楽みたいなものではなく、
メロディの洪水みたいな即興なんです。

深町純が晩年演奏していた映像がyoutubeに幾つも上がっていて、

その中で彼が「猫ふん」をすごいアレンジで弾く映像がありました。

あの曲の基本的な展開を守りつつ、
ものすごい新しいメロディとアレンジを加える。

びっくりしてしまって、何度も見返しました。

それで自分でも、猫ふんじゃった的なリズムで創作した曲がこれです。

確かに「猫踏んじゃった」もジャンルの不明な曲。

トゥルルン　チャッチャッ　というリズムが何度も入り、

階段式にベースラインが上昇下降するというのが　猫ふんスタイル。

これは大学生の時に、
友人の柴田の実家で弾いたものを彼がビデオで撮っていて

それをfacebookにアップロードしたことがあったけれど、
その時も反応が良かった。ただなんとなく、

これが僕が作曲したことである点にはあんまり触れられていなくて、

あくまで面白いプレイとして見られたのかなと。

なんとなく、音楽を作ったり、
巷での音楽の消費のされ方・語られ方を見て思うのは、

まず作曲というものに関してあんまり理解されない事が多いのと、

ソングライトに関しては、
結構みんな実感持ってすごいとかわかるんだけど、

コンポーズに関しては、
みんなどう感じていいのかわからないんじゃないかと思う。

この演奏をインスタグラムにあげた理由は、自分もよくわからない。

けれど、多分音楽として
面白がってもらえる自信が少しあったからもしれない。

最初の投稿は、演奏や自分の顔がどうこうよりも

自分の部屋を晒すということへの抵抗が強かったですね。

写真ならまだいいけど、

映像だとあんまり受け取って欲しくない生活感とか空気が写り込む。

ただ、歌ってないから全然まだハードルは低いんですが。

初めて自分で歌モノをあげたのは
ミツメの「取り憑かれて」という曲。

これは15秒のを分けてストーリーズにあげました。

１分を越える動画は通常投稿できなくて（IGTVではできるよう）

IGTVがなんなのかわからず怖かったので、ストーリーズにしました。

この時の歌はか弱すぎて、よくないです。

歌ったのはワンコーラスです

“ずっと　これが続くとは　とてもじゃないが　思えなくて

 日差しに溶けそうで　声でたずねた　

いつも気にしないでいたいのだけど　
取り憑かれてしまったのならどうするの”

今これを書いていて思い出したけど、

２月の中旬のコロナが広がり始めたもうすごくダークで
下がり続けばかりの頃って、

聴いてすっと入ってくる音楽がなくなったように感じたんですよね。

ラブソングでも、楽しい曲ポップソングでもなんでもいいけど、

多くの音楽が日常であることが前提で、
どれ聞いても「今は違う」感があった。

唯一ハマったのはKREVAの「健康」って曲です

けれど３月末ごろになって、少し気持ちが変わってきた。

仕事が休みになって、余裕もできて、
この状況を前向きに捉える手助けに音楽がなってきた。

その頃ぐらいから、家から出ない日も増えたので、
毎日のようにギターを弾き歌を歌うようになりました。

とりあえずビデオも撮ることに。

いわゆる歌としてちゃんと最初に投稿したのは
藍坊主の「いわし雲」という曲。

知名度の低いバンドのアルバム曲です。

”明日から　いざ自由になると　色々忘れてる　文字の書き方とか

仕事はもうやめた　だってつまんないんだもん　
彼女は呆れて　電話にでも出てくれない”

これはもうこの時の自分が
仕事から離れてフリーになった開放感がこもってますね。

以降は毎日歌っては、
撮りアップロードしたので、曲ごとに選曲の理由などを。

KAN「長ぐつ」

“単純にいうならばこう　空は青く　月は丸い　

僕はいつでも君を愛してる　ところで君はどう

難しくいうならばそう　言葉だけじゃ足りないから　

今はただ逃げないように　消えないように　君を抱きしめる”

おそらくビートルズの”I WILL”に影響を受けたであろう
シンプルでアコースティックなラブソング。

歌詞の中で段落や１番２番で対比が多くて、
子供の頃教科書で読んだ詩を思い出す。

直接的にリンクする歌詞はないけれど、
ポール的な平和さを掲げたつもりでした。次の曲も同じです。
それぐらいこの時は、優しくて愛あるものが欲しかった。

政治が全然信じられないし、希望も見えない状況で、

落ち込むことにももう飽きてしまっていたからね。

ホフディラン「スピリチュアル」

ここまでのこの３曲の並び、自分の中では相当最高です。

とても今の若い人たちが
知っているとは言い難いミュージシャンのアルバム曲３連続。

“この胸の奥には　心の奥には　大切なものがしまってあるのさ

　抱えきれないほどさ　隠しきれないほどさ　
　こんな気持ちになるのは初めてのことさ”

BUMP OF CHICKEN「ホリデイ」

仕事が完全に大連休になったので、
ここからはお休みソングが続きます。

こんな状況なんだから休もうぜ！というメッセージを込めて。

そして、人生をある程度楽観的に捉えることも歌われている。

この頃はよく夢を見てました。覚えてないけど変な夢が多買った

“遅刻かも起きなくちゃ　いいやホリデイ、
今日は起きないぞ！　夢の続き見るんだ

失敗しない　後悔しない人生なんてない　
ざまあ見ろ僕は見つけたぞ　まぶたの裏側で”

ポルノグラフィティ「ワールド⭐︎サタデーグラフティ」

これだけは夜中にお風呂で歌っているんですが、

タイミング的に土曜日の夜の選曲としても、歌詞もこれがベストだと思って、

日没後だったので半ば強引に撮りました。

”土曜日なのに雨だね　ここは東京なのに一人だね　

せめて夢の中で遊びませんか　カーテンだけが揺れる12時の夜

 グッナイベイビー　明日もきっといい日さ”

「I can't give you anything but love,baby」

ジャズのスタンダードナンバーですが、
今の所これが一番再生回数が多くて不思議です。

映画『ジャージー・ボーイズ』で
フォー・シーズンズが歌うアレンジでやりました。

みんな仕事もお金も、余裕も物も少しずつ失いつつある状況の中で、

唯一手元に残っていて、
大事な人とも分かち合えるのは愛だけだよねっていう意味で。

“Till that lucky day You know darned well, baby　
I can’t give you anything but love

(いつか突然幸運な日が訪れたりするよね、きっと

　それまでは僕は君にあげられるのは愛だけさ)”

FLEET FOXES「White Winter Hymnal」

ここで突然多重録音をやっていますね。

閃いて、思いついたように2時間くらいで楽器も歌も全て録りきった。

選曲の意味というよりは
フリートフォクシーズの牧歌的なサウンドは、自宅にいても
自然の匂いや風を感じさせてくれる。10年代必聴のバンドです。

スピッツ「Holiday」

これもバンプと同じタイミングで撮った一連のホリデイ選曲。
歌詞はタイトルに反して、少し怖いけど少しわかる内容。

J.C.Bach「平均律クラヴィーア　BWV 846」

この世に存在する音楽の中で、
最も美しい音楽のひとつだと思っています。

ピアノがあまり弾けない自分でも、
楽譜をギリギリ追いながらなんとか弾ける。

数年前に自宅用にキーボードを購入して、
最初に手に入れた楽譜であり、

心を落ち着かせたいときにはいつも、
ピアノに向かってこの曲を練習します。

Kermit the Frog「Rainbow Connection」

カーミットは自分にとって、愛の象徴のようなマスコットです。

ポール・ウィリアムズが曲書いて、彼
がバンジョーで歌うこの歌は全ての心に虹をかける平和の歌。

BILLY JOEL「Allen Town」

コロナで会社の経営破綻やお店の閉店が相次いでいます。

ビリー・ジョエルの「ナイロン・カーテン」は中学生の時に

母親とよく家で聴いたアルバムで、その１曲目が「アレンタウン」。

ニュージャージー州のアレンタウンは工業地帯で、戦後に栄えたが

８０年代には工場の閉鎖が相次いでいた。
その状況への応援歌がこの曲だった。

グッナイ小形「くらし」

同郷の友人でもあり、
僕が弾き語りをするきっかけをくれたのは彼ですね。

彼が路上で歌っているのを見て、とても自由に見えた。

それはどんなにお金を稼いでも、名声を得ても手に入らない自由。

歌うことって実はすごく人を自由で解放的な気持ちにさせるのか、

そう気づかせてくれたのは彼かもしれません。

“仕事辞めたいと呟いてたやつとあいつ使えねぇって言ってた上司が

笑いながらお酒を飲んでいた　
ああそんなもんだよな日々の生活なんて

時計の針の上で踊っているだけ

ああ、素晴らしい日々よ　涙のあとの夜明けよ
昨日言えなかった大事な言葉たちよ

ああ、素晴らしい日々よ　せめて終わりがくるなら　
君に一本の花を贈りたい"

キリンジ「今日の歌」

アコースティックギターには通常スチールの弦をはりますが、

弾き語りに使っているギターにはナイロンの弦をはっています。

音が柔らかく、音も小さめで、指板も押さえやすい。

キリンジのこの曲は
ガットギターのすごく優しいナイロンの音から始まります。

この曲もこの曲が収録された「SUPER VIEW」というアルバムも

あんまり話題に上がることはないけれど、
自分にはとても重要な１枚。

数年前に、辛いことがあった時に、ずっとこのCDを聞いていた。

“春風に桜舞う公園は　今年もいっそう美しい

けれど「昨日の歌」はもう響かない　いつかのようには”

なんでもない「東京に雨が降ったよ」

これは少しズルをしていますね。
実際は２曲目になるグッナイ小形の曲ですが、

彼がまだその名を名乗る前、僕は彼とCDを作ったことがあります。

作詞や作曲は全て彼で、
僕は彼からもらったコード譜を元にギターを弾いただけ。

まあ、その時のユニット名が「なんでもない」なのです。

フォークらしいスリーフィンガーで弾くアレンジにしたのは、

ニコの「フェアレスト・オブ・シーズン」の影響です。

この曲を僕らが演奏したり、レコーディングした時には、

僕もグッナイも東京を知らなくて、
グッナイは特に東京への憧れが強かった。

そんな彼を見ていたり、彼がかく曲の歌詞を見ていると、

僕もやはり東京には少しロマンを感じるようになりました。

そして、今は二人とも東京に
（僕は埼玉だけど、道民からしたら埼玉は東京です！）いる。

これは少し前に彼と電話で話したことですが、
コロナがあってから

僕らはそれぞれ東京に対し、地元に対し、考えが変わってきていた。

人々が消え、お店が閉じ、
イベントがなくなった東京は、ただの街だった。

もちろん素敵なところだけど、
いろんなものが幻想だった気がしてきた。

それとともに自分と北海道の関係も浮き上がってきました。

いつかわからないけど、全然戻るのもありだなぁと思うのです。

今回はまだ、
東京へ漠然とした憧れを持っていた頃の歌をうたいました。

“明日は何にも予定がないから　素晴らしい１日にしよう”

森高千里「渡良瀬橋」

これは正直ルール違反です。
好きだから意外に選曲の理由がありません。

でも、こじつけるなら、
この歌は別れた恋人と見た景色を思い出す歌です。

自分も過ぎ去った大事な思い出と向き合う時期にいました。

GRAPEVINE「Arma」

初めて聴いたのは小樽のなか卯だったかな。

夜中に仕事を終えてよくカレーを食べに行っていました。

グレイプバインがこんなにストレートなメッセージを歌うなんて、

すごく熱い気持ちになった。
でも最後の”こともないけど”がいいですよね。

“まだまだここじゃ終われないさ　先はまだ長そうだ

疲れなんか微塵もないとは言えない　こともないけど”

シャムキャッツ「Travel Agency」

シャムキャッツを知ってから、
自分の興味がいろんな方向に枝道が増えた。

音楽が本当に面白くなって、
ここ数年の自分の大事な瞬間には彼らの歌があった。

自分にとってシャムは
本当にトラベル・エージェンシーだったと思う。

”夢から覚めたら次の国へ　いつか楽園へ行く頃までスケベでいたいね”

小沢健二「春にして、君を想う」

世紀末、オザケンがメジャーシーンから消えて、
NYへと去る。最後のシングル。

歌詞の内容的にも、
このシングルに意味深に最後のトラックとして収録されたことからも

「ある光」が小沢健二の最後の曲として印象が強いけど、

この曲もどうしてもフューネラルな雰囲気が漂う。

2015年の10月に初めて鎌倉に行き、母親と最後にあった翌日、

渋谷のシネマヴェーラで
「春にして、君を想う」というアイスランド映画をみた。

おそらくこの曲のタイトルの元ネタで、
ソフトは廃盤で観られなかった映画だった。

この曲を聴くと、
死ぬことはつかの間のお別れのように柔らかに感じられて

生きていることは　つかの間のダンスのように感じられる。

“君は少し化粧をして　僕のために泣くのだろうな　

　そんなことがたまらないのだ　静かなタンゴのように”

Oasis「Stand by me」

高校生の時に、
韓国へ修学旅行に行ったけれど、お小遣いを向こうで全然使わず、

飛行機で帰ったきた日に
そのまま空港から旭川西イオンのタワレコに行って、

オアシスのファーストとセカンドを買った。。

真駒内でのライブにも行けたしな。
世間的には評価の低い三枚目のアルバムに入っている

「スタンド・バイ・ミー」が一番好きだったな。

THE BEATLES「Julia」

自分が音楽好きに育ったのは母親の影響が大きくて、
母は特にビートルズマニアでした。

自分はポール派だし、
ビートルズは「I WILL」をやろうと思っていたけど、

とつぜん自分の中でこの曲の存在が大きくなって「Julia」にしました。

ジュリアは、ジョンが自分の母親について、ヨーコについて歌った曲です。

女性、そして母、海。長い長いつながりを感じさせる曲です。

この後からは、宅録モードに切り替わりました。

意外と長くなってしまったので、また次回にでも。